[ワシントン 20日 ロイター] - トランプ米大統領は間もなく就任から100日を迎える。当初は過激な保護主義的政策を唱えていたトランプ氏だが、その後大幅に態度を軟化させており、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議のためワシントンに集まった世界の要人らの間でも、破壊的とは程遠い政権になるとの見方が定着しつつある。

トランプ氏は公約通り環太平洋経済連携協定(TPP)からの離脱を表明した。しかしその他の問題についてはずっと穏当で、北米自由貿易協定(NAFTA)からの離脱を控え、中国を為替操作国に認定せず、温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」にも残留する可能性を示唆している。

米医療保険制度改革(オバマケア)改廃や入国制限は議会や司法に阻まれ、主要な政権ポストの任命も遅れている。外国の政策当局者の中には、米政権内でどの人物が自分の交渉相手に当たるのか、未だに分からないと話す者もいる。

ただ外国当局者らは、これまで下された重要な政策決定が予想よりはるかに中道的な内容に落ち着いたとの見方で一致している。

欧州連合(EU)欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務・税制担当)は、ムニューシン米財務長官と米国家経済会議(NEC)のゲーリー・コーン委員長の2人がトランプ政権に対する懸念を和らげたと指摘する。これは外国当局者の間で広く共有されている見解だ。

「ムニューシン氏とコーン氏は良識ある人々で、開放経済には何が必要かをわきまえており、話しが通じる相手のようだ」とモスコビシ委員は話した。

予想より現実的な政権だという感想は、トランプ氏に激しく攻撃されたメキシコも共有している。

メキシコのバネッサ・ルビオ・マルケス財務次官は19日のセミナーで、トランプ政権との協議はこれまでのところ「メキシコが対処できそうな」一握りの争点に絞られている、と説明。「依然として不確実性は大きい」が、「かっちりとした継続的な対話ができている」と述べた。

<自由貿易は継続>

トランプ氏の政策はまだ固まっていない部分が多いが、貿易戦争やインフレを招くような放漫財政といった極端なリスクは後退したようだ。

日銀の黒田東彦総裁は20日、記者団に対し、自由貿易を支える多国間の枠組みに大きな変化は起こらないとの見解を示した。

ムニューシン財務長官は同日、銀行幹部らとの会合で、米経済の成長を促す上で税制改革が引き続き優先課題だとした上で、米経済の拡大には堅固な世界経済が必要だと指摘。「米政権は外部と対話し、外部から意見を取り入れるのに前向きだ」と語り、G20などの枠組みを通じた国際協調への支持を表明した。

もっとも、リスクは残っている。米政府は20日、中国など外国製の鉄鋼輸入が国家安全保障を損なっていないか調査に着手したと発表した。その上、財務省や商務省で多くの主要ポストが空席のままだ。

ワシントンで開かれる国際通貨基金(IMF)年次総会に出席する欧州の外交官は「上級職の多くがまだ空席だ。現時点でだれが最も強い権力と影響力を持っているのか、国外の者にはさっぱり分からない」とこぼした。

(Howard Schneider and Jan Strupczewski記者)

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