Swaha Pattanaik

[ロンドン 19日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英国のメイ首相が総選挙の前倒し方針を示したことで、英経済に打撃を与えない形の欧州連合(EU)離脱が実現するとの期待が投資家の間で高まっている。

しかし、選挙戦を通じてメイ氏がブレグジット(EU離脱)を巡る交渉で何を優先するのかが明らかになる過程で、そうした楽観論を支える想定が正しいかどうかが問われるだろう。

BREAKINGVIEWSが通貨、債券、株式、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の価格に基づいて算出している「ブレグジット指数」は、メイ氏が早期選挙を打ち出して市場を驚かせた18日に95.8に上昇した。これは昨年6月の国民投票でEU離脱派が勝利して以降で2番目に高い水準だ。指数は投資家が「強硬離脱」の懸念を強めると低下し、穏当な離脱が予想されると上昇する。

先行きに対してより明るくなれる理由は2つある。まず早期選挙によってメイ氏は2019年のEUとの交渉期限から次の総選挙まである程度の余裕を得られる。従来は2020年初めまでに総選挙を行う必要があったが、これが2022年に延びた。そうなるとEUとの交渉延長も可能になる。

一方メイ氏は国内の政治基盤を強固にできる公算が大きい。というのも世論調査では与党・保守党が下院の勢力をさらに拡大することが見込まれているからだ。そうした情勢下では、一部の強硬な反EU派が、移民やEU分担金問題などで政府にあれこれ指図するのは難しくなる。メイ氏としては、より好ましい条件をEUと交渉できる。

ただしこの2つの想定は、崩れるかもしれない。メイ氏が2022年まで首相の座にとどまりそうだからというだけで、他のEU加盟国が英国に対する態度を和らげたり、交渉期間を延ばすとは限らない。保守党の勢力が大きくなれば、メイ氏が党内の親EU派の方を無視する事態もあり得る。

メイ氏が貿易や移民などの分野でどこまで妥協する気があるのかは、選挙戦で明らかになっていくとみられる。有権者や他の政党がメイ氏に対してブレグジットの具体的方針をつまびらかにするよう迫るからだ。これに伴ってメイ氏の選択の余地が狭まり、選挙前倒し表明後に急速に高まった強硬離脱回避の期待がそれと同じぐらいのスピードでしぼんでしまう恐れはある。

●背景となるニュース

*BREAKINGVIEWSの「ブレグジット指数」は、メイ首相が総選挙前倒しの意向を表明した18日、95.8に上昇した。昨年6月23日の国民投票でEU離脱派が勝利して以降では2番目の高水準。

*ブレグジット指数は、通貨、債券、株式、CDSの価格に基づいて算出する。経済成長に打撃を与える「強硬離脱」となる公算が大きいと投資家が考えれば指数は下落し、より穏当な離脱が見込まれると指数は上がる仕組みだ。

*18日のポンド/ドルは一時1.29ドル超と、半年ぶりの高値を付けた。ポンドの実効レートは1.1%高の79.1となった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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