[イスラマバード 4日 ロイター] パキスタンのムシャラフ大統領は3日、全土に非常事態を宣言、憲法の効力を停止した。大統領は国民向けに演説し、政治の停滞を招いた司法の干渉や過激派の攻撃による治安の悪化に対応するための措置であると説明、速やかな行動がとられなければ国家の統合が保てなくなるとして理解を求めた。

 同政権とともにテロとの戦いを進めてきた米国は、非常事態宣言に失望を表明、来年1月に自由で公正な選挙を実施するとの公約の実現を引き続き目指すよう求めた。

 パキスタンでは、最高裁が先月の大統領選でのムシャラフ大統領再選を認めない判決を出すのを阻止するため、大統領が非常事態を宣言するとの観測が高まっていた。最高裁は2日、ムシャラフ大統領が軍参謀長を兼ねたまま大統領選に立候補したことについて、立候補資格が違法かどうかをめぐる審理を4日から再開し、判決を急ぐと表明していた。

ADVERTISEMENT

 政権に批判的だった最高裁のチョードリー長官は解任された。

 ここ数カ月間、核保有国であるパキスタンの治安は、139人の死者を出したブット元首相を狙った爆破事件など相次ぐ自爆攻撃で急速に悪化している。

 野党第2党パキスタン人民党(PPP)を率いるブット元首相は3日、滞在先のアラブ首長国連邦からカラチに空路帰国し、ムシャラフ大統領が「戒厳令」を敷いたとして非難した。野党政治家で元クリケット選手のイムラン・カーン氏は自宅軟禁状態に置かれた。

 目撃者によれば、パキスタンのテレビ局やラジオ局には軍が配備されており、電話もほとんど通じない状態。民放テレビのほとんどが放送を中断している。

 大統領府、国会、最高裁などの周辺の通りも軍が封鎖している。