John Kemp

[ロンドン 12日 ロイター] - 世界の主要地域すべてで貿易活動が横ばいにとどまるか減少しており、世界経済は2008─09年以来初めて、景気後退の瀬戸際に追い込まれている。

米ロングビーチやシンガポールなど主要貨物港でも、香港、米メンフィス、ロンドン、フランフルトにあるハブ空港でも、ともに貨物取扱高が昨年並みか昨年を下回っている。

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世界最大の航空貨物拠点である香港国際空港の3─5月の取扱高は、前年同期に比べ5%超減少した。ロンドンのヒースロー空港は4.5%減で、2013年以来で最悪となった。

フランクフルトと米テネシー州メンフィスの空港貨物は、2─4月に前年同期比でそれぞれ約3%と約1%減少した。

航空貨物は最も高価で急ぎの商品にしか使われないが、概して貨物セクター全般と景気全体についての良い先行指標となる。

太平洋を横断する海運輸送の最大ターミナルである米カリフォルニア州ロングビーチでは、3─5月のコンテナ取扱高が前年同期比10%減少し、2015─16年以降で最悪となった。

シンガポールの3─5月コンテナ取扱高は前年同期比1%増加したが、昨年第1・四半期の16%増に比べて減速している。

貨物輸送の先行指標を見る限り、減速は今後いっぱい続きそうで、景気後退に陥る可能性もある。

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JPモルガン・グローバル購買担当者指数を見ると、世界の製造業の新規輸出受注はここ9カ月間減少しており、現在の減少ペースは15─16年以降で最も速い。

韓国KOSPI100株価指数は5月末時点で1年前に比べ約15%下がっている。同指数には輸出企業が多く含まれるため、世界貿易の伸びを良く反映する。

世界貿易機関(WTO)の貿易見通し指数は2010年以来の最低水準まで下がり、貿易量の伸び減速を示している。

3月の経済協力開発機構(OECD)景気先行指数は08─09年の景気後退以来の最低水準となった。1970年以来、同指数が現水準まで下がると必ず米経済は景気後退に入り、他の先進諸国も追随している。

ただ、世界経済は本格的な景気後退を避けられる可能性も残っている。15─16年には石油その他のコモディティ価格が低落し、世界経済が景気後退に近付いたが、17─18年には再加速した。

米連邦準備理事会(FRB)その他の中央銀行が利下げによって信頼感を向上させ、耐久財への支出をてこ入れする可能性もある。1998年には速やかな利下げが奏功し、景気拡大がその後2年持続した。

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米短期金利市場は既に、9月末までに25ベーシスポイント(bp)の利下げが少なくとも1回行われ、場合によっては追加利下げもあり得ることを織り込み済みだ。同市場では、2020年1月のフェデラルファンド金利誘導水準が現水準を75bp下回る見通しとなっている。

とはいえ現時点では、世界経済は景気後退の瀬戸際であり、景気回復に向けた行動を起こさない限り、今後6カ月間に景気減速が深刻化する確率は、しない確率よりも高そうだ。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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