和田崇彦

[東京 25日 ロイター] - 日本の上場企業への出資規制を強化する外為法改正を巡り、政府は、新設する事前届出の免除制度が利用できる範囲を拡大する方針を固めた。現行の指定業種のうち、国の安全を損なう恐れが大きい一部の重要分野に出資する場合でも、追加条件を満たせば、持ち株比率10%の範囲まで事前届出を免除する。富裕層の資産を管理する機関などの投資を確保し、規制強化に伴う日本株市場への影響を懸念する声に配慮する。

複数の政府関係者が明らかにした。政府は3月上旬までに公表する政省令案に事前届出免除の範囲拡大を盛り込む方針だ。

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外為法改正案は昨年11月の臨時国会で成立。外国の投資家が国の安全などに関する指定業種の上場企業に出資する場合、事前届出の基準を持ち株比率10%から1%に厳格化するとともに、事前届出の免除制度を新設するなどして外国投資家の負担軽減策を講じることが柱。

改正法案の段階では、政府は外国の投資家を3類型に分け、事前届出免除の扱いを区別してきた。具体的には、1)外国金融機関は包括的に事前届出免除、2)外国の一般投資家が、指定業種のうち国の安全等を損なう恐れが大きい業種(コア業種)に出資する場合は事前届出が免除されない。コア業種以外の指定業種は事前届出を免除、3)外為法違反で処分を受けた者や国有企業などは原則、免除の対象外とする。

届出免除を受ける外国投資家は、1)自身またはその密接関係者が役員に就任しない、2)重要事業の譲渡・廃止を株主総会に自ら提案しない、3)国の安全等に関する非公開の情報にアクセスしない――の3要件を順守しなければならない。

政府は政省令案の策定にあたり、この免除制度を拡充する。外国の一般投資家がコア業種に出資する場合には、上記3要件に加え、1)重要な意思決定権限を有する委員会に自ら参加しない、2)取締役会などに期限を付して回答・行動を求めて書面で提案しない――の上乗せ基準をクリアすれば、1―10%未満の株式取得でも事前届出免除を利用できるようにする。

これにより、富裕層の資金を運用する「ファミリー・オフィス」や包括免除の対象にならないヘッジファンド、大学の基金なども、要件を守る限り、10%未満の投資の事前届出が免除される。

政府は、政省令案・告示案の検討に当たって、「国の安全」「公の秩序」などの観点からこれまでに選定してきた「指定業種」を2つのグループに分類。外国投資家が1%以上を取得すれば国の安全を脅かす恐れが大きい重要分野として、武器、航空機、宇宙関連、原子力関連、軍事転用可能な汎用品など12分野を指定する方向で最終調整を行っている。

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指定業種のうち皮革関連などの分野は、外国人投資家が1%以上取得しても国の安全を脅かす恐れがないため、事前届出免除の利用が可能になる。

財務省はロイターの取材に対し「コメントは差し控える」とした。

(編集:石田仁志)