[ロンドン 21日 ロイター] - 21日に発表された2つのリポートによると、新型コロナウイルスの感染拡大による打撃を受け、欧州の銀行の貸付損失は急増し、向こう3年間で4000億ユーロ(4580億ドル)以上になるとみられる。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスのリポートによると、損失リスクが最も高いのは2014年末から19年6月までに20%超増えた中小企業向けの融資と無担保消費者ローン。

コンサルティング会社オリバー・ワイマンも別のリポートで、新型コロナの感染拡大を抑えるために欧州が2回目の包括的な封鎖措置を導入した場合、欧州の銀行の貸倒損失は8000億ユーロに上る可能性があると予想。これは12─14年のユーロ圏危機と同等の額だが、08─10年の世界金融危機に比べると40%超下回る。

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オリバー・ワイマンの欧州・中東・アフリカ(EMEA)金融サービス部門の共同代表を務めるクリスチャン・エーデルマン氏は、「パンデミック(世界的大流行)によって欧州の銀行部門が機能しなくなる可能性は低いが、多くの銀行は利益が非常に小さい『中途半端な状態』に追い込まれる」と指摘した。「積極的な事業再編が必要となってくるが、成功には政局当局や規制当局が関与・支援する必要がある」とした。

ムーディーズは、欧州銀行監督機構(EBA)のデータを利用し、域内の大規模な銀行システムに関して中小企業向け融資と無担保消費者ローンへのエクスポージャーを調査。その結果、南欧諸国の銀行が最も中小企業へのエクスポージャーが高いことが分かった。一方、ドイツや英国などの大きな銀行システムはエクスポージャーが欧州全体の平均である15%を下回った。無担保消費者ローンへのエクスポージャーが最も高いのはスペインとオーストリア、フランス、英国の銀行だった。

新型コロナ危機を受けた景気低迷により、融資の質は悪化するとみられる。ムーディーズは、融資全体に占める不良債権の比率が欧州の大半の銀行で22年までに100─300ベーシスポイント(bp)上昇すると試算した。

欧州の銀行の不良債権比率は、19年6月末時点で中小企業向けの融資が8.5%、無担保消費者ローンは5.6%だった。15年6月の18.5%と8.1%からそれぞれ低下している。大手企業向け融資では2.1%、住宅ローンでは2.7%にとどまる。